19世紀末~20世紀初頭。
来歴
-Delcourt collection, Paris, France
-C.Rolley, Paris, France
展示
Tribal Art Fair Amsterdam, Netherlands
コンゴのテケ族の神像です。
腹部に呪術的な力を持つ薬ビロンゴを充填しボール状に形成しています。
造形
全体がいくつかの量塊として把握されているのが特徴的です。
頭の球体、後頭部の抽象化された髷、ボール状の胴体(呪術の薬の塊がつけられている)、脚は大腿、脛、足の三段の量塊の積み重ねになっています。
顔は幾何的に表現され、耳はV字の切り込み、鼻は三角の浮彫、口は四角、そして眼は釘を打ちこんで瞳としています。これはテケの彫像のコーパスの中でも例外的な造形表現です。
全体が突き詰めた球状の造形で、素朴ながら力強い美しさがあります。
文化
ひと際目を引くのは腹部のボール状の薬品の塊です。このビロンゴと呼ばれる呪術的な薬は、祖先の遺灰や毛、植物、土を混ぜて、像の腹部に塊状に充填し、布で包まれます。
この像は、特に病気や魔術、死から身を守るための魔法として使用され、テケの専門的な神官によって作成されました。
このビロンゴの魔法のボールは像の神聖な力の源となるため、役目を終えた際やヨーロッパ人に持ち帰られる前に破壊されて抜き取られているものが多いのですが、本作品はオリジナルのボールが現存している稀少な例です。