真贋の判別法(アフリカンアートの学び方)


まず本物を知る

私はアフリカンアートを学び始めて日は浅いので偉そうなことは何も言えないのですが、多くのディーラーが言う共通のことを書いてみます。

アフリカンアートを学ぶ上で肝要だと考えられるのは、他の美術品同様、とにかく数多くの本物を見て、本物のスタイル、パティナを知ることです (できれば、その文化的背景も知る)。

アフリカの各部族の彫刻は、伝統的な様式に基づいて彫られ、特定の使用法がありますので、部族ごとに多くの作品を見ることで、どのようなものが本物なのか、共通の様式や着眼点を学ぶことができます。

ただ、厄介なのが、インターネットで例えば「〇〇族 マスク」「XX figure africa」と画像検索すると、市場向けのお土産品やフェイクが大量に表示され、間違ったものを本物として覚えてしまう可能性があることです。

なので、信頼できる情報ソース、信頼できるギャラリーを発見する必要があります。
例えば、私の知るドイツのとあるギャラリーは、市場向けに作られた作品を本物の作品として主張し、大量販売しているのですが、それらを本物の基準としてしまうと、一生本物でないものばかりをコレクションすることになります。

どうやって本物を勉強するか

欧米の著名な美術館に所蔵されている作品は、ハイクオリティなものが多く、当然ながら真贋の審査をしていますので、これらのホームページや図録を見るのは楽しく、良い勉強になります。

次に、著名なアートフェアのカタログを見ること、また、そこに参加しているギャラリーのカタログやホームページを見ることも良い学びになります。

パリのParcours des monde、ブリュッセルのBRUNEAF、BRAFAに出展するギャラリーは、高い評価を受けており、事前の審査もあるので、ハイクオリティの本物を見ることができます。

他にも、アムステルダムトライバルアートフェアやブルゴーニュトライバルショーなど、評判の良いギャラリーが出展する、審査ありの展覧会があります。

本物のスタイル・パティナを学んで比較することで、質の悪いフェイクの多くは簡単に排除することが可能になります。

そして、何よりも本物の高品質の作品を見て勉強しているときがいちばん楽しかったりします。

フェイクの判別法

決まったフェイクの判別法というものは存在しません。

ただ、最低クラスの品質の悪いフェイクは比較するまでも無いものも多く、以下のような特徴がある場合が多いように思います。

あくまで一例で、すべてがこの基準で切り分けることができるわけではありません。

・やたらと古ぼけたような見た目。
フェイクは造形も悪い場合が多いですが、古く見せかけるために、泥のような汚れを付着させたり、化学薬品で古色をつけていることがあります。

アフリカンアートは儀式で大切に使用されるものなので、基本的にはその使用法にしたがったパティナが形成されます。

例えば、人が何度も触れてできた摩耗、儀式で塗料や捧げものをした層、生贄の層、などです。

このため、本物の多くは、よくわからない汚れで古ぼけているということはあまりありません。

パティナが全体的に均質。
何度も繰り返し儀式で使用される道具であるアフリカンアートは、長い年月によって豊かなパティナを獲得します。
アンティークの木製家具やエイジングしたヌメ革に味わいがあるように、この豊かなパティナがアフリカンアートの魅力のひとつでもあります。
しかし、フェイクは当然ですが大量生産で短時間に作られますので、そのように豊かなパティナを持つことはあまりありません。

・スタイルが曖昧もしくは誇張されている。
偽物やコピーは、プロポーションが誇張されているように見えることが多いです。
本物は通常、全体的に調和とバランスがとれているものですが、偽物の多くにはそれが欠けています。
コピー職人は、ある作品の特徴となる様式の要素を、過剰に表現してしまい、全体のバランスを崩してしまいがちのようです。一方、各文化の芸術家が伝統的に作ったオブジェでは、スタイルの様々な要素が調和して全体を作り上げていることがわかります。

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