エレ・イベジ ヨルバ族 ナイジェリア


来歴
ex. private collection, Muinch, Germany
ex. private collection, Hyogo, Japan

造形

イベジは地域によりスタイルが異なりますが、これはオヨ地域の典型的な造形です。
髪は大胆に盛り上がり、毛は細かく刻まれています。さらにブルーの彩色があります。
膨らんだアーモンド形の目、膨らんだ鼻、突き出た唇はヨルバ族の多くの彫刻でみられる造形です。
長年の使用により独特の艶を持つパティナが生まれています。
イベジは男性像、女性像ともに存在しますが、この像は女性で、成熟した様子を表現するために、乳房は突出し、下腹部には陰毛を表す三角形が刻み込まれています。

文化

ヨルバの人々は世界でも双子の出生率が非常に高く、同時に死亡率も高いという歴史がありました。

そこで、エレ・イベジは、亡くなった双子を霊的に祀るために使用されます。
像は、神官の指導のもと制作され、亡くなった幼児ではなく、大人として彫られ、陰毛や目立つ生殖器など、大人のような性質を持つ子供の像がよく作られます。

彼らは通常、家の中の祠に置かれ、定期的に食事や入浴、着替えをさせられました。

母親にとっては特別な存在として、身近に置いて愛情を注がれたため、古いものには磨耗による艶が見られ、トゥクラの木の粉が付着しています。
この彫刻を大切に扱い愛情を注いだ人には幸運がもたらされ、逆に粗末に扱うと災いや呪いをもたらすこともあると信じられていました。

イベジは、母親によって、まるで生きているかのように扱われ、手入れをされました。
聖油を塗り、洗い、食事を与え、服を着せ、歌い、祈ります。日中は立ったままで、夜には寝かされます。本記事のイベジにも、手の間や下腹部、臀部に固まったトゥクラの粉が残存していることが観察できます。

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